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顔を上げると、間近にまで来ていた羽島さんが、首の後ろに手をあててポキポキしながら、すれ違いざまに声をかけてくる。
トイレか自販機に行くために出てきたっぽいから、特に急ぎではなく、ついでで言われているのがわかるけれど、南条さんに負けず劣らずの無表情と棒読みの口調に、ほんの少し肩が上がる。
「昼までには終わります」
なんとなく目は合わせられないまま答えると、羽島さんは、
「はーい。よろしくー……」
と後ろ姿で言って、足は一切止めずに廊下の角を曲がっていった。
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