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途端に、羽島さんは吹き出した。
私の両肩に両腕をかけ、顔を下へ向けながら、笑いを噛み殺すように肩を揺らす。
「ダイレクト過ぎ」
そして、そう言うと、脱力したような深い息を静かにゆっくりと吐いた。
「……ごめん、なさい。勘違い……」
また呆れられたな、と情けない気持ちになりながら目の前に垂れる頭に謝ると、
「違わないから、謝らなくていいよ」
と、彼の声が返ってきた。
「……」
やっとおさまった顔の熱が、じわじわと再集結しだす。
私は彼が至近距離にいるにもかかわらず、思いきり生唾を飲んだ。
絶対に聞かれたはずだ。
「卒業式……」
「え?」
「そっちの卒業式、いつ?」
俯いたままの顔を上げず、そのままの体勢で聞いてくる羽島さん。
私は、急な話題転換に戸惑いつつも、
「3月第一週の金曜日……だったはず」
と答える。
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