≪10年前≫

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「一緒だね」 「そうなんだ」 卒業式か……。 羽島さん、もう、高校生じゃなくなるんだ……。 なんとなくしんみりした気持ちになる。 「会う? その日」 「え?」 ふいに上げられた顔。 いきなりアップで見つめられてそんなことを言われたもんだから、私の心臓はバクンと跳ねた。 「あっ、会うっ!」 音量調節を間違えて返事をすると、羽島さんが片目をつぶって少し体を引き、 「でか……」 と呟いた。 気恥ずかしさと、それをはるかに上回る嬉しさに、私の顔はまたもや緩む。 「羽島さん」 両肩に腕をかけられたままで顔が近いのをいいことに、今度は私から不意打ちでキスをする。 「大好き」 へへー、とだらしない顔全開でそう言うと、特に表情を変えない羽島さんが、 「どーも」 と答えた。 さっきの写真のことなんて、私の中では、忘れてしまうくらい小さなことになっていた。      
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