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「一緒だね」
「そうなんだ」
卒業式か……。
羽島さん、もう、高校生じゃなくなるんだ……。
なんとなくしんみりした気持ちになる。
「会う? その日」
「え?」
ふいに上げられた顔。
いきなりアップで見つめられてそんなことを言われたもんだから、私の心臓はバクンと跳ねた。
「あっ、会うっ!」
音量調節を間違えて返事をすると、羽島さんが片目をつぶって少し体を引き、
「でか……」
と呟いた。
気恥ずかしさと、それをはるかに上回る嬉しさに、私の顔はまたもや緩む。
「羽島さん」
両肩に腕をかけられたままで顔が近いのをいいことに、今度は私から不意打ちでキスをする。
「大好き」
へへー、とだらしない顔全開でそう言うと、特に表情を変えない羽島さんが、
「どーも」
と答えた。
さっきの写真のことなんて、私の中では、忘れてしまうくらい小さなことになっていた。
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