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「今日、午後から会うんだっけ?」
「うん」
「卒業生って、クラスとかで集まりがあるんじゃないの?」
「なんか、夕方からあるみたいだけど、行っても行かなくてもいいっぽいこと言ってた」
「へぇ。カナを優先するから、ってこと?」
「へへー。そうかな?」
ニマニマしていると、頬を軽くつねられて、「なんかムカつく」と言われた。
「でもさ、カナの王子は、最後の最後まで電車内でカナと会話しなかったね」
「え?」
呟くように言われたカッチンの言葉に、よく聞き取れなかった私は聞き返す。
「ううん。まぁ、いいのか。こんなに幸せそうなんだから」
最後の一段を上り終えて、カッチンが腕を上げて伸びをする。
私は、
「幸せだよ」
と答えてピースをして見せた。
カッチンは、「はいはい。のろけてくださいませ」と、呆れながらあくびをした。
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