≪10年前≫

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「今日、午後から会うんだっけ?」 「うん」 「卒業生って、クラスとかで集まりがあるんじゃないの?」 「なんか、夕方からあるみたいだけど、行っても行かなくてもいいっぽいこと言ってた」 「へぇ。カナを優先するから、ってこと?」 「へへー。そうかな?」 ニマニマしていると、頬を軽くつねられて、「なんかムカつく」と言われた。 「でもさ、カナの王子は、最後の最後まで電車内でカナと会話しなかったね」 「え?」 呟くように言われたカッチンの言葉に、よく聞き取れなかった私は聞き返す。 「ううん。まぁ、いいのか。こんなに幸せそうなんだから」 最後の一段を上り終えて、カッチンが腕を上げて伸びをする。 私は、 「幸せだよ」 と答えてピースをして見せた。 カッチンは、「はいはい。のろけてくださいませ」と、呆れながらあくびをした。
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