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「わ。羽島さんの匂い」
「……」
羽島さんの部屋に入った途端に思わずそう言うと、彼はまた無表情で静止した後、
「……適当に座って」
と言った。
変なことを口走ってしまった。
思ったことをすぐに口に出すくせ、やめなきゃな。
ちょっと恥ずかしくなりながら、ベッドと小さなテーブルの間に座り、再度ぐるりと部屋を見渡す。
8畳ほどのフローリング。
ベッドとテーブルと、小さなテレビ、勉強机。
その横に高い本棚が置かれている。
私の本棚とは違って、難しそうな本がいっぱいだ。
「男の子なのに片付いてるんだね。ヤゴとは大違い」
「……」
上着を椅子にかけ、コンビニ袋をテーブルに乗せた羽島さんが、無言で私の横に腰を下ろす。
「……ヤゴの部屋にも行ったんだ?」
「うん、何回か」
「……ふーん」
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