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いつもより長めのキスをされ、私はゆっくりと目を閉じた。
羽島さんの髪の匂い、私に触れる手の温もり、唇の感触。
もう慣れてもいいはずなのに、あいかわらず私の動悸を早くさせる。
彼にも響いているはずだ、この心臓の音とリズム。
恥ずかしさと心許なさで掴んだ羽島さんのカーディガン。
ボタンに爪が当たったことで、小さな無機質な音を合図に、羽島さんが顔を離した。
私はその斜めにされた顔を見て、
「ほら、余裕だ」
と、頬を赤らめ、小さく睨む。
「そう見えるだけだよ」
羽島さんはそう言って、今度は私の体を自分の方へ引いた。
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