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こんなふうに、ぎゅっと抱き締められたのは初めてだったから、驚きでちょっとだけ体が強張った。
でも、私の肩にポスンと乗ってきた彼のおでこに、なんだか可愛さを感じてしまって、ふっと緊張が緩み、私はだらんとしていた両腕を彼の背中にゆっくりと回す。
「卒業おめでとう」
「もう聞いた」
「合格間違いなし」
「どーもありがと」
腕に込められる力が強くなった気がして、負けじと私も、羽島さんをぎゅっとする。
「好き」
「うん」
「大好き」
「うん」
彼の『うん』はあまりにも優しくて、俺もだよ、って言われているみたいな錯覚がした。
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