≪10年前≫

25/40

5126人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
なんて言えばいいんだろう。 胸の奥からキラキラしたものが湧き出てきて、心から体の隅々にまでじんわりと滲んで広がっていくような、細胞をうるわせていくような、そんな充足感。 しかも、それが後から後から溢れてきて、もう、私は無敵なんじゃないかな、と錯覚してしまうほどに。 「……」 羽島さんは片腕を枕にしながら、私のほうを向いて寝ている。 もう片方の手は布団の上にあった。 それを見た私は、ガサゴソ動いて彼と向き合う体勢を取り、目を覚まさないか観察しながら、ゆっくりとその手を私の方へ寄せる。 彼の片手を両手で持ち、目の前でフニフニ揉んだりぎゅっと握ったりして遊んでいると、なんだかおかしくなってきて、ふふふ、と小さく笑ってしまった。 今、私、間違いなく変態だ。 気持ち悪いに違いない。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5126人が本棚に入れています
本棚に追加