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「あー。もう、好きすぎて吐きそう」
「吐くなら、外行ってね」
「冷たいなー、彼女に対して」
「よくそんなに何回も言えるね」
呆れた声だけど、ほんの少し笑っているのが後ろ向きでもわかる。
言わずにいられないほど、吐き出さないとこぼれるほど、私の胸の中はいっぱいだった。
さっきも何回も言ったんだけど、言い足りない。伝え足りない。
「だって、ちゃんと態度と言葉で示さなきゃ伝わらないでしょ?」
「そう?」
「あ、ちょっと違うや。伝わってほしい、じゃなくて、伝えたいんだ」
「一緒じゃないの?」
「熱量の違い」
「何キロカロリーくらい違うわけ?」
「なんでカロリーが出てくるの? 食べ物の話じゃないよ」
「……」
そこまで話すと、羽島さんが私の頭上で盛大なため息を吐いた。
「もういいや」
「変なの」
私は顎を上げて逆さまの羽島さんの顔を見た。
彼は、少しだけ端を上げた唇で、私のおでこにキスを落とした。
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