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5時半。
帰り支度を終えた私は、玄関で靴を履き、「おじゃましました」と羽島さんにペコリとお辞儀をする。
顔を上げると、一段高い位置の羽島さんが、無表情で腕組みをしながら玄関の壁に寄りかかっている。
「……?」
そのまま動かないので、「じゃあ」と言ってドアノブに手をかけると、
「……送るよ」
と、羽島さんが言ってきた。
「大丈夫だよ。だって、クラス会夕方からだって言ってたし、行かなかったとしても、家族で卒業おめでとう会とかあるでしょ」
私は、パーにした両手をブンブンと振る。
「親は遅くなるって言ってたけど」
その時、羽島さんのケータイが、ズボンの後ろのポケットで音を響かせた。
「あ、私もう出るから、電話出ていいよ」
「いや、メール」
ケータイを見た羽島さんは、その文面を読んで、またポケットにしまう。
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