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「ん?」
ちょうど手を置いた場所に一枚の白い紙があり、手の平にくっつく。
……いや、紙ではなくて、……写真だ。裏返しの。
「……」
えー……と……。
人の物を勝手に見てはいけません、ていうのは重々承知な私は、その姿勢のまま一旦停止する。
気になる。
でも、ダメだ。
でも、見たい。
いやいや、ダメダメ。
興味に打ち勝ち、パッと手から写真を剥がす。……が。
「わあっ」
意図せずに写真が机から落ちてしまい、私は咄嗟にそれを拾う。
「……」
足音が聞こえ、私は慌てて写真をもとの位置に裏返しで置き、跳ねるようにさっき座っていた場所に戻った。
「紅茶でよかった?」
「うん!」
部屋に入ってきた羽島さんに、何事もなかったかのように振る舞う。
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