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「……」
事故だった。
見えてしまったのは。
とてもきれいな女の人が、とびきりの笑顔で写っていた。
一瞬だったけど、それだけはちゃんと見えた。
そして、表情こそわからなかったけれど、隣に羽島さんが……。
「なに?」
「ううんっ!」
凝視していたので、羽島さんが不審そうな目をこちらに向けた。
私は、ぶんぶんと頭を振り、いただきます、と紅茶を飲んでまぎらわした。
……元カノ、かな。
心の中で、小さく呟く。
一瞬でよくわからなかったけれど、その一瞬だけで、彼氏彼女感が伝わってくるような写真だったから。
ずーん、と重たい気持ちになりそうなのを、気にしない! と、すぐさま心の中で自分に言い聞かせる。
過去を気にする女は重いって雑誌に書いてあったし、勝手に人の机の上のものを見る女なんて論外だ。
なにより、今の彼女は私だし、今私は幸せなんだから、気にする必要なし! うん!
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