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さほど興味なさそうな羽島さんに、私は、はた、と気付く。
「あ! 結局私が話してるじゃん。羽島さんの話が聞きたいのに」
思わず、羽島さんの手を握って訴えると、
「ヤゴって話によく出てくるけど、どんな人?」
と、聞かれる。
「ヤゴ? んー……、なんかね、やたらとイジワルなことばっかり言うし、お調子者だし、ホント子どもって感じ」
またもや自分の方が話し手になってしまっている私は、バカ正直に答える。
「でも、仲いいんだ?」
「うん。なんでかわかんないけど、よくつるんでる」
「ふーん」
あれ? 話が途切れた。
そういえば、いつも話が途切れる。ヤゴの話題が出た時に限って……。
「……」
私は50センチほどあった羽島さんとの距離を10センチに縮めて、彼の左腕に自分の肩を当てる。
「なに?」
「ううん」
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