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無言でいると、頭のてっぺんにコツンと彼の頭が乗せられる。
「……なんで別れたんだっけ?」
「……」
「またあれ? 昔の話を掘り起こしたくない、ってやつ?」
「そうですね、無粋です。今となっては必要ないじゃないですか」
「今、こういう関係になってるんだから、ってこと?」
「……」
お腹にゆっくり腕を回され、頭の上にあった彼の顔が耳元を掠めて下りてくる。
そして、肩の上にポスンと、頭がわずかな重さを伴って乗ってきた。
「……トイレの前ですけど」
徐々に強まる、回された腕の力。
やっぱり酔っている。
彼に密着している背中が熱い。
首に当たる彼の髪がくすぐったい。
そして、こんな所なのにもかかわらず、心地よさを感じている自分が、気持ち悪い。
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