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「“帰る”って言うかと思った」
「その方がよければそうしますけど」
真後ろから、「それなら、聞かねぇだろ」と、ため息まじりの笑い声。
その息が私の短い髪をかすめて、ほんの少しくすぐったさを感じた。
「あのさ」
「……はい」
「今、どういう関係? 俺ら」
「羽島さんの思っているとおりの関係だと思います」
「わかった。じゃあ、がっつり真剣交際ね」
「……」
そのままの姿勢で、固まる私。
「酔ってますね、羽島さん。さっきから変な話ばかりして。ていうか、みんなの前であんな絡み方しないでくれますか? 冗談でもタチが悪いです」
「変な話? ……あぁ」
思い出したかのように、ふっと笑う羽島さん。
「冗談なんかじゃないよ。軽くトラウマだし、18の春は」
「……」
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