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「あと、三浦さん、南条さんに彼女いると不都合なんすか?」
わざと古賀さんの口調を真似て聞いてくる羽島さんは、私の髪のタオルドライを終え、今度は自分の髪をガシガシと拭き始めた。
「面白かったですね、飲み会」
「すごいね、その無理やりな話題転換」
もう慣れたと言わんばかりの呆れ顔でソファに体を半分沈め、私の腕を引き、同じように自分のほうへ寄せる羽島さん。
ちょうど彼の胸のあたりに頭が乗っかり、羽島さんの心臓の鼓動がわずかに伝わってきた。
緊張半分、時間も時間だから、その安心できる規則的な音に、眠気を誘われる。
「覚えてる?」
「覚えてません」
「まだ何も言ってない」
ズルズルと沈み込み、ほぼ横たわっている姿勢になった。
私の家のものと比べ、倍近い大きさのソファー。
職業柄いいものなんだろうな、となんとなく思った。
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