5648人が本棚に入れています
本棚に追加
「カナ」
「ひゃあっ」
思わず体をよじらせて、変な声を上げる。
油断していた隙に、脇腹をくすぐられた。
「やめてくださいっ!」
「いってっ」
仕返しにお腹にグーパンチを入れると、羽島さんが「けっこうな力だな、おい」と冗談まじりに睨む。
「何するんですか、ホントに」
その顔に応戦するように睨み返すと、今度は頬を緩くつねられる。
「つまんない表情」
急に真顔になってそう言った羽島さんに、私は動じず、逆に下から両頬つねり返す。
この体勢とやっていることとの落差。
いい大人がふたり、何をしているんだろうか。
「つねられて笑えとおっしゃるんですか?」
「……そうひゃなくて」
「ハハッ」
「……」
「羽島さん、喋ったらもっと変な顔になった」
「……」
最初のコメントを投稿しよう!