≪現在≫

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「カナ」 「ひゃあっ」 思わず体をよじらせて、変な声を上げる。 油断していた隙に、脇腹をくすぐられた。 「やめてくださいっ!」 「いってっ」 仕返しにお腹にグーパンチを入れると、羽島さんが「けっこうな力だな、おい」と冗談まじりに睨む。 「何するんですか、ホントに」 その顔に応戦するように睨み返すと、今度は頬を緩くつねられる。 「つまんない表情」 急に真顔になってそう言った羽島さんに、私は動じず、逆に下から両頬つねり返す。 この体勢とやっていることとの落差。 いい大人がふたり、何をしているんだろうか。 「つねられて笑えとおっしゃるんですか?」 「……そうひゃなくて」 「ハハッ」 「……」 「羽島さん、喋ったらもっと変な顔になった」 「……」
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