5648人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー! 戻ってきた。お酒もうきてますよ」
「あれ? 小宮さんは?」
空いた席を見て古賀さんに聞くと、
「トイレに来ませんでしたか? 3人になった途端ソワソワしだして、トイレ行ってきます! って敬礼して向かいましたけど」
とのこと。
「……」
……多分、南条さんと古賀さん3人になって、ムダに緊張して逃げたんだな、小宮さん。
そう予想する一方で、あれ? もしかして……、と急に不安になる。
「あ、来た来た」
古賀さんの声に振り返ると、ちょうど話題の彼女、小宮さんが戻ってきた。
私の隣の席についたのを見て、
「小宮さん、どちらにいたんですか?」
と、こそっと聞いてみると、彼女はあからさまにひきつった笑顔で、
「え? あ、ちょっとね。外の風にあたりながら、ケータイでやりかけの乙女ゲーを、ハハハ、ハハ」
と言った。
視線を合わせず、口笛を吹くような顔をしている彼女の頬には、“見てしまいました”と書かれているかのようだ。
最初のコメントを投稿しよう!