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これ以上、聞きたくない。
そう思うのに、足はべったりとその場に貼り付いている。
「クラスごっちゃでやるの? ……あぁ、うん。わかった、伝えとく。会うから」
「……」
“会うから”
流れるように自然に羽島さんの口から出たその言葉。
ショックよりも、あぁ、やっぱり、と妙に納得している自分がいて、私はゆっくり瞬きをする。
「ハハ。……うん、元気だよ、あいつも。……キレイ? んー……、香澄とは長くてそんなのわかんねーけど、まぁ、変わってないよ」
なにが、“当時のカナともう一度交際したいと思っているのかもしれない”だ。
それすら自惚れだったと、昨夜の自分を嘲笑う。
こんなことで傷付かない。
傷付いてなんかいない。
私はもう大丈夫なんだから。
あの頃の私じゃないんだから。
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