≪現在≫

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それから1分ほど世間話をした羽島さんは、 「はいはい。じゃあな。詳細決まったら、また連絡入れて」 と言った。 わざとじゃないにしろ立ち聞きしていたことが後ろめたくて、電話を切る気配と同時に、私はベッドへと戻る。 布団に入って目を閉じると、ちょうど部屋のドアが開く音が聞こえた。 すぐに目を開けようと思っていたけれど、タイミングを逃してそのまま狸寝入りをしていると、近付いてくる微かな足音。 その気配は私のすぐ横で止まり、ベッドがわずかに沈み込んだことで、羽島さんが腰かけたんだということがわかった。 「……」 無言が重い。 おそらく凝視されている。 この状況と沈黙に耐え兼ね、思い切って目を開けようとしたその時、頭にふんわりと優しい温度を感じた。
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