5642人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「なんか、あれだね」
「どれですか?」
「この前も思ったけど、寝顔も寝起きの顔も、可愛い。なんか無防備で」
「……」
さっき電話で他の女のことを喋っていた口が、何を言っているんだ。
そう心の中で罵りながらも、顔が熱くなるのを感じて、ふいっと顔を背ける。
「なに言ってるんですか」
「可愛い、って言ってる」
布団の上、私のすぐ横に手をついた羽島さん。
覗きこまれている感じが、いかにもからかっているみたいで、恥ずかしさと同時に、腹立たしさを覚える。
「そ……」
文句を言おうと顔を上げた時、今度は、羽島さんの顔が下を向き、口を緩く押さえているのに気付いた。
意表を突かれた私は、彼の耳が少し赤くなっているのを見て、まるで伝染したかのように顔の熱が上がる。
最初のコメントを投稿しよう!