5649人が本棚に入れています
本棚に追加
「カッチンは?」
「遅れるって。おみくじでも引いてて、だと」
実家近くの小さな神社の鳥居の横で、ニット帽をかぶったヤゴが白い息を吐く。
大きな神社とは違って、元旦の昼過ぎなのに人はそれほど多くない。
「ていうか、なんでクリスマスに集まったばっかりなのに、元旦早々召集かけるわけ?」
「どうせ、ヒマだろ。カナは」
「……」
ちょっとムッとして、ヤゴを睨むと、
「ウソだよ。クリスマスに飲んだ時、お前がなんか元気なかったから、カチ子がまた集まろうって声かけてきたんだよ」
と返される。
「……なにそれ。気のせいだし。元気だよ、私」
「元気じゃなさそう、特に頭が」
そう言って、自分がかぶっていた帽子を私にかぶしてくれたヤゴ。
「ホント、いつ見ても寒そうだな」
と言って、ブハッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!