≪現在≫

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「あー、……うん、まぁ、もうお互い大人だし、表面的には何も……」 言いながら、笑えてくる。 本当に大人だったら、こんなふうに感情をぶり返させず、自分を制御できていたのかもしれない。 ……いや、それが大人なのかな?  “大人”なんて、なにをもってそう言うのか、よくわからない。 「内面的には何かあるような言い方」 「え?」 「やけぼっくいに火が、とか」 「ハハハ、なにそれ。ないない。第一、羽島さん、当時の本命の彼女と続いてるみたいだし」 「あー。それって、長い黒髪パーマのお上品な女?」 「へ? な……なんで知ってんの?」 南条さんと一緒に見た時の彼女を思い返す。 アップにしていた髪の毛先は、当時と唯一違ってパーマがかかっていた。
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