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「最近できました」
南条さんはこの空気をなんとも思っていないかのようにそう言って、静かにお酒を口に運んだ。
「……」
微動だにしない隣の人。
見なくても分かる。
小宮さんがまるで砂になってサラサラと風に飛ばされていかんばかりに、ショックを受けている。
店内のBGMも、よりによって洋楽のバラードに変わっていた。
切なげな高音の歌声が、彼女の気持ちにシンクロしているかのようだ。
「三浦さん、南条さんに彼女いると不都合なんすか~?」
古賀さんが、ニヤニヤしながら私に言ってくる。
その隣の羽島さんは、表情なく腕組みをして、椅子に背を預けている。
「いえ」
「あっ、そうだ! 小宮さん答えなかったし、負けが一番多かったからビリ決定! はい、飲んでくださーい」
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