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「なにテレビ見て、くつろいでんの?」
シャワーを浴びてリビングに戻ってきた羽島さんが、半乾きの髪を拭く手を止め、呆れた顔でドアに寄りかかった。
先にシャワーを済ませていた私は、タオルを首にかけたまま、ソファーでテレビショッピングを見ていた。
「電気を消して、ベッドの上でツタンカーメンのミイラみたいに待ってればよかったですか?」
「……それはそれで面白いだろうけど」
言いながら私の横に腰を下ろした羽島さん。
深夜で少し眠いのか、目頭を押さえてソファーに背をもたせ掛けた。
家が同じ方向の私と羽島さんは、自然に同じタクシーで帰ることになった。
といっても、古賀さん以外は事情を知っているので、暗黙の了解なのかもしれないけれど。
ここは羽島さんの家。
彼が風邪をひいた時に一度来ているので、これで2度目の訪問になる。
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