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堤課長は、笑いながらフロアのほうへ去って行く。
その様を横顔で見ていた羽島さんは、彼が完全に見えなくなってから、私へと視線を戻した。
「何かある? 報告。急ぎは頼んでなかったと思うけど」
「電話もありませんでしたし、言われていたもののデータ化も終わったので、課長のデスクに置いてあります。コンセプトごとに、配置や色調についての参考として使えそうな資料を添付していますが、必要なければ処分してください」
ボソッと「早……」と呟いた後、「……はーい」と言った羽島さん。
カバンからお茶のペットボトルを出し、
「おつかれ。もらったけど、いらないからあげる」
と言って手渡された。
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