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「……あ」
なんだ? このタイミング。
つい2日前に見たキレイな女性が、コートに身を包み、柔らかくて暖かそうなワインレッドのマフラーを巻いて、颯爽と歩いている。
私にとってもだけれど、ヤゴも年末に目撃したって言ってたから、かなりの確率だ。
「お前がひとりで傷付きたいって聞かないんなら、嫌でもまぜてやるよ、俺が」
「え?」
物騒なことを言って立ち上がったヤゴは、私が見上げた時にはすでに歩き出していた。
「ちょっ――、なに? なにすんの?」
嫌な予感がして追いかける私は、慌ててよろけそうになり、出遅れてしまう。
ヤゴはそのまままっすぐ堂園香澄のもとへと進み、私が追いつかないうちに、彼女を引き止めた。
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