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光を反射する噴水のキラキラを受け、美人がいっそう美人に見える色白の彼女は、きょとんとして立ち止まる。
そしてヤゴの顔を見上げ、その後ようやく追いついた私を、ヤゴの肩越しに見た。
当たり前ながら見覚えがない私達に、
「あの……、何か?」
と口を開くのとほぼ同時、
「お宅の羽島、他の女に手ぇ出してますよ。知ってます?」
と、ヤゴの声が置かれた。
「え?」
「――っ!」
私はびっくりして、ヤゴの背中をドンっと勢いよく叩く。
何言ってるの?
何言ってくれてんの? ヤゴ!
信じられないっ!
「ちょっとっ!」
ヤゴの右腕を後ろから強引に掴み、そのままぐいっと引っ張る。
その時、羽島さんの彼女の目から、ツーッと涙がひと筋、きれいに流れるのが見えた。
……見えてしまった。
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