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「もういいから、いくよっ、ヤゴっ。すみませんでした! この人バカなんです。ホントすみません」
ヤゴを引っ張って、逃げるようにその場から離れる。
「おい、いてーって!」
「バカだと思ってたけど、やっぱバカじゃん、ヤゴ! 信じられないっ」
振り向かずにベンチのところへ向かいながら、ヤゴにグチャグチャした感情をぶつける。
勝手なことをしたヤゴへの怒りと、彼女の涙を見たことでの罪悪感と、『すみません』って何度も言った自分の情けなさと、結局逃げている弱さと無様さと……。
「……っ。……信じられない」
ベンチのところまで来た私は、また泣いてしまいそうな顔を伏せて唇を噛む。
ヤゴはそんな私の頭を押さえ、自分の胸にポスッと寄せた。
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