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噴水はあいかわらず綺麗に光と水を遊ばせ、華やいだ街も人もみんな私の心とは程遠く、それがなおさら空しさを強調する。
上げた手をゆっくり下ろして、私は駅の方へと向かった。
頭にこびりついて離れないのは、さっきの彼女の頬を伝った涙。
私も泣いた。
今日、2回も泣いた。
でも、たったあれだけで、私のほうが悪者になった。
そんな気持ちにさせられた。
「はぁ……」
イタイなー。
つくづく恋愛が下手だなー、私。
この有限な関係をキレイに楽しんで、キレイに終わらせる、なんて、ハナから無理な話だった。
「あーあ……」
私は最初から、一番になりたかったんだ。
流すのは、あんな、きれいな涙でありたかったんだ……。
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