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翌日。
「ため息、多いですね」
ガコン、と休憩フロアの自動販売機にホットカフェオレの缶が落ちる。
それを取りながら振り返ると、南条さんが立っていた。
「朝からずっと課長が研修で出ているから、寂しいのですか?」
「……いえ、むしろはかどっています」
場所を譲ると、お金を入れた南条さんはブラックコーヒーのボタンを押し、落ちてきた缶を取った。
さっき古賀さんと昼食を食べに行って帰ってきたばかりの彼は、まだ黒のコートを羽織ったままだ。
「あれから、もう、ご相談事はないのですか?」
観葉植物の横の壁に背をもたせかけ、缶を開ける南条さん。
言わずもがな、絵になる。
「……そうですね。今日、なくなる予定です」
羽島さんのことだとすぐ気付いた私が答えると、
「そうですか」
と別段驚きもせず頷いて、コーヒーをひと口飲んだ。
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