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「……アホになれと?」
ふ、と肯定も否定もせずに微笑んだ南条さん。
コーヒーを飲みほし、壁から背中を離すと、缶をゴミ箱に捨てた。
「……」
彼の上げた視線が何かをとらえたのがわかり、私は振り返る。
「あ……、お取込み中、すみません。今、Y商事さんから南条さんへお電話があって、折り返します、って伝えてありますので」
小宮さんだった。
ほんの少し頬を赤らめ、南条さんに伝える。
「あぁ、はい。わかりました」
そう言ってコートを脱いだ南条さんは、それをたたんで腕に掛け、フロアへと踵を返す。
「あ」
何かを思い出したらしい南条さんは、腕に掛けたコートのポケットから何やら取り出そうとする。
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