≪現在≫

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……なにが悪かった?  誰が悪かった?  頭の中で問いかけても、明快な答えは出ない。 それはどちらともでもあって、どちらでもなかった。 許すとか、許さないという問題でもないように思えた。 15歳と18歳の私達は、完璧な選択ができなかった。 そもそも、完璧な選択ができていたとして、あの日々の続きがどうなっていたかなんて、誰にもわからないけれど。 今でさえ、できない。 他人にとっては“そんなこと”に振り回されて、誤って、すれ違って、回り道をして。 『思い出は不純物らしいですからね』 『過去はただの過去にかわりないのに、主観だらけの誇張された捏造物になる』 南条さんの言葉が思い出される。
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