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俺の声に反応して腕をパッと上げたカナは、濡れずに済んだ。
……けれども、一瞬の沈黙の後、
「アハハハハッ、なに他の女の名前呼んでるんすか、課長! 三浦さんと彼女間違いました?」
と、古賀の爆笑が響く。
「……うるさい」
「ハハッ! 顔赤いっすよ、課長。先生をお母さんて言っちゃうアレですよね? 萌えるんですけど~」
古賀があまりにも笑うもんだから、俺はテーブルの下でヤツの足を蹴った。
カナをちらりと見ると、テーブルを拭きながら小宮さんと談笑している。
この前、あんな泣き顔を見せたのが嘘みたいな顔。
「……」
不意にぶつかった視線。
小動物みたいに目をパチクリさせた後、照れた顔を隠すようにふっと目を逸らすカナ。
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