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10年前の嘘つきは、俺だった。
言うべきことと言わなくていいことの分別もつかない、独りよがりで不誠実で鈍感な、18の俺だった。
ちゃんと過去にできていたはずだった苦い思い出を持ち寄ってふたを開けてみたら、まるで違うものをそれぞれ抱えていた。
でも、そんなの誰にだってあるはずで、俺たちは再会できたからこそ答え合わせができた。
……いや、再会したこと自体よりも、カナが昔言っていた“伝えたい”熱量が、そうさせたんだと思う。
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