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「“待ってる”ってなんですか?」
「んー……?」
後ろから彼女のうなじに口付ける。
「返してもらった生徒手帳見てたんですけど」
「敬語のまま」
2次会から帰ってきて、俺の家。
深夜のベッドの上で、仄かな間接照明の灯りがふたりの影をシーツに落とす中、俺はふっと笑った。
「私の誕生日の日付のとこに、“待ってる”って」
「あー……」
ゆっくりと彼女の腕を引いて、
「覚えてない」
と言いながら、体を手前に倒させる。
コテンと俺の太ももに頭が乗っかった彼女は、化粧を落とした無防備な顔で、
「うそだ」
と、俺を見上げながら言った。
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