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「……明日、どっか行く?」
「あ! 明日はヤゴ達と約束が」
「は? またヤゴ? あんた今月何回ヤゴに会ってんの?」
「カッチンもいるよ。それに、ヤゴにはいろいろと話さなきゃいけないことが」
「へぇ……」
「なに? その目」
「……いや、ホント、萎えさせる天才だな、と思って」
「なにそれ」
布団に包まりながら頬をつまむと、彼女も負けじとつねり返してくる。
「じゃあ、明後日、日曜日にデートする?」
「え! いいの? うん、行く! どこ行く?」
俺の腕の中で、パッと花が咲いた。
10年前と違わぬ満開の笑顔。
予期していなかった俺は、驚いて固まった後、わざとらしい咳払いをして顔を伏せ、照れを逃がす。
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