第1章~『マリア』が生まれた日~

5/7
前へ
/7ページ
次へ
*** 「あっぶなかったぁ~…」 砂丘をぬけて小さな森に逃げ込んだ3人は、一安心して腰をすえている。 例の女性はラグダの労をねぎらっているのか、マッサージを行っているようだ。 すっかり横になってだらけているラグダに、囁くように官能的な声で女性は語りかける。 「あら、ここが気持ちいいの?…それとも、ふふっ、ここかしら?」 …………いかがわしい。なんかいかがわしい。相棒が羨ましい…じゃなくて!! 「ゴホン!えっと…まずは助けてくれてありがとう。」 気まずくなり咳払いで遮ると、ふりかえった女性は優しげな声で。 「いいえ、気にしなくていいわよ。わたし困っている人たすけるの好きなの。」 布に隠れて顔が良く見えないが、微笑んでいるのが口元からわかる。 「ねぇ!おねえちゃん顔なんでかくしてるの?」 羨望の眼差しで女性の顔をのぞき込む妹に「砂嵐から守るためよ」と説明している。…体はいいのか、めっちゃでてるぞ、腹とか足とかむ…む…む………、ま、まぁ本人がいいならいいか…。 「それじゃあ。もうそろそろ自己紹介もしようかしら。っていっても名前はないんだけど…まぁ『謎の女』とでも呼んでちょうだい。」 そういって布をとって笑みを浮かべた女性は…黄金の髪をもった、蒼眼の女神だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加