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「今ね、色々なところを旅してるの。遺跡とかの歴史探索が目的よ。」
「どうして?」
「あえていうなら『自分探し』…かしらね。」
「名前がないってのはそういうことか…」
どうやら、この女性は自分が何者なのかを探しているようだ。随分武器の装備を念入りにしていること、そしてさっきの地理をいかした機転の良さから、今まで色々な修羅場を潜り抜けてきたことは容易に想像できる。
見た目は絵になるくらい綺麗なのにすげぇな…とボーと眺めていると『謎の女』がその視線に気が付いたのか妖艶に笑う。
「あら、どうしたの?顔が赤いわよ坊や。」
「ぼっ////!俺はあんたより年上だろ////」
「それはわからないわよ、だって私ライアロウだもの。犬のセリアン坊や。」
美しい顔が迫ってきて、顔を真っ赤にしていると妹が冷ややかな目で見つめてくる。
「お兄ちゃん…エルサさんに言いつけるよ。お兄ちゃんが浮気してるって。」
「ちょ!ち、違う!俺はエルサ一筋だ!!」
「あら、彼女さんがいたの。残念…」
「え…////」
「お兄ちゃん!!」
コントみたいなやり取りをしていると、女性が思い出したように自分たちに質問してくる。
「そういえば、このあたりに遺跡があるってきいたんだけど…坊や達わかる?」
「いやしらん…って、俺の名前はダウだ!!」
まったく…綺麗な女の子はみんな人のいうことを聞かないな…と、愛しい恋人の顔を思い出す。
「ねぇお姉ちゃん、名前ないならエリがつけてあげる!」
「あら嬉しい。どんな名前なの?」
「えっとねえっとね…う~ん……!!『マリア』とか!」
「どうして?」
「お姉ちゃん『マリア様』みたいに綺麗だもん!教会にあるマリア様の像もスッゴク綺麗なんだよ!」
あぁ、近所にあるあの教会のマリア像のことか…確かに綺麗な像だったな。
エリザベスもよく機嫌が悪くなった時や落ち込んだ時は、よくあの像に下に隠れてたっけ…。
でも、こんな簡単に人の名前を決めるのはさすがになー
「気に入ったわ。じゃあ今日から私は『マリア』ね。ありがとう。」
「やった~!」
「え!? そんなアッサリ!?」
こんなことで自分の名前決めていいのか!? と困惑していると「かわいい女の子がせっかくつけてくれた名前なのよ、大切にしないと♪」とかいっている…この人…変わってる、ほんと変わってる。
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