第3楽章

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私の秘密の野心が、口から溢れる。 「背負いたかっ、たー……」 ――ひとりで罪を 匠との罪を背負っていくコトは、 匠を愛するのと同じコトだったから その為だったら、 どんな罪でも背負うと決めたから。 それこそが、 私の愛し方だと思ったから。 「――胸が痛いんだ。オマエ見てると、大切すぎて胸が痛いんだよ」 耳の傍で、 匠の吐息と声が漏れて。 囚われる。 同じ血を通わせた、温もりに。 指先を口に含まれたら、 もう―― 1年半以上前より、もっと。 鍛え上げられた匠の厚いカラダに、 気が、遠退くくらい惹かれた。
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