第3楽章

32/36
前へ
/37ページ
次へ
†【ホドけない】† ――――最初は。 生真面目でおとなしそうに見えて、 強気に放つ眼差しが印象に残って。 フワリ、と微かに残る、 女性用じゃない香水が、“誰かのモノ”だと象徴していて。 束ねた髪が、ドコでホドけるのかと、気になり始めて。 時折見える、拒絶の信号が怖いくらいにミステリアスで。 抜き差しならないほど、 乱れる姿が見たくなって。 この手で、 ホドきたくなった―――― 匠は。 私のカラダに指と唇を這わせて、 私の印象を、溢していく。 ――ダメじゃない…… まんまと私の策略に嵌まっちゃって よく今まで無事だったね そう思うのに――動悸は速くなる。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加