第3楽章

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せっかく離れて生きてきたのに。 予想通りの思考回路が、 哀愁みたいに思えてくる。 でも、きっと、 “兄妹”だから――感覚が分かるんだ 匠の、超然とした態度とカオが、 “ヒトらしい感情”を灯すたび、 匠の心に、サワれたと思えた。 「もう、オマエしか抱きたくない」 私の反応の全部を覚えた匠の唇が、 私の唇を、かする。 そんなウソも、 いつまで続くんだろう。 「……感度、上がったな。熟れてて……ホラ、締まってて……サイコー」 指で、唇で。 私を確かめた匠が、熱の中に沈む。 声が、喉の奥で漏れる。
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