第3楽章

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今までみたいな、 奪い合う感じじゃなくて。 いたわるように、優しくて。 とても、困惑する。 ――多分、こういうのも シアワセ、っていうんだ 泣きたくなるほど、優しくされて、 ホドけ切ってない心が、持っていかれそうになるのを堪える。 前よりも分厚くなった、匠の胸が、 私を息苦しくさせるのを手伝って。 ギュッ、と唇を噛みしめた。 途端。 「カラダでしか語り合えない関係なんて、ヤだったんだよ」 カラダの奥を。 匠自身に、掻き回されて、 何もかもが、溢れそうになった。 意味もなく、祈りたくなる。 オネガイ――オネガイ……
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