第4楽章

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そのドアから入ってきたのは。 「政宗、八重に挨拶を」 紛れもなく、あの“政宗”。 袴姿ではなく、スーツ姿だけど。 後ろへ撫で付けられた髪。 切れ長の大きな鋭い目。 整った鼻梁。 口角が上がった薄い唇。 温度を感じさせない瞳。 『柿原八重』として、メールを交わしていた大切な“政宗”。 水気を含ませたような、鮮烈で若々しい威圧感を滲ませた“政宗”。 「初めまして。『八重』さん?」 ニッコリと笑んだ口元と目元は、 息を呑むほど柔らかい。 「……なん、で……」 「私の息子を、大事な会議に呼んだだけだ。白澤印刷をねだられてね」 “政宗”が、白澤印刷をねだった……?
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