第4楽章 #2

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††† 初めて見るスーツ姿の政宗は、 袴姿同様、気品に満ちている。 所作が美しいせいか、 とにかく――静謐だ。 「お会いできて光栄です」 そう言いながら、 八重の前で政宗が跪く。 それはとても。 恭しくて、中世の騎士のようで、 敬虔な印象を与えた。 「しばらく、パソコンには触れなくてご無沙汰しました」 ……! 政宗の言葉に、 八重は、怯える。 「柿原八重さん。貴女にお会いしたかった」 八重を見上げる微笑みは艶やかで、 政宗は恭順を示すように、しなやかに八重の手を取った。 手の甲に、政宗の唇を感じて、 八重は、今度こそ脅えた。
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