第4楽章 #2

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たまりかねたように。 奥平チーフは、 黒髪を揺する。 「……キスも……してくれない……」 はらり、と。 奥平チーフの横顔に張り付いていた、一筋の黒髪の束が落ちて、 彼女の瞳が、現れた。 なんとも、たとえようがない。 敗北とか、絶望とか、憎しみとか、 そういうモノではなくて。 ただ。 途方に暮れたような、 迷子みたいに頼りない瞳で、 奥平チーフは白澤有雅を見た。 「君の躰は魅力的だ。匠1人くらい、簡単だろう。せっかく任せたんだから、やりなさい」 丸め込むような優しげな声で、 白澤有雅は、 それこそ扇情的に、奥平チーフの首筋を掌でなぞった。
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