第4楽章 #2

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「本日の株主総会で、僕が代役になる事を皆様に認めて頂く予定です」 ――……そうか 今日は、株主総会だったんだ 総会の準備のために、白澤有雅の足留めが必要だったのかも知れない。 八重は、 姿勢よく立つ政宗を盗み見た。 やはり、白澤有雅の母に似ている、 ろうけた美しさ。 個人的に逢いたいなどと、望んだことさえなかったのに、 このような形で逢ってしまうとは。 艶然と微笑む政宗が、 白澤有雅側にいるなんて。 寒気がする。 長年大事に大切にしてきたものが、 粉々になるばかりか、 真っ黒に穢されたと思えるほどの衝撃だった。 八重は、 痛みと悔しさを、噛み締めた。
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