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纏いつく布地を、
無造作に流して、
堕天使みたいに微笑む匠のカオ。
こんな時でも、
息を呑むほど麗しい。
鍛え上げられた逞しい体躯は。
やっと、生気を伴っていて、
はだけていても、しどけなくても、
安堵する。
乱れた、匠の柔らかい髪が、
額と頬にかかっていて。
かきあげて、整えたいと思うほど、
触れたくてたまらなくなった。
「奥平サンじゃムリだから。俺の上からどいてよ」
ドコか。
底冷えする微笑をたたえて、
身なりを整え始めた匠は。
多少、温度を上げたような、
妖艶にも見える流し目を使って。
白澤有雅と、
私の後ろの政宗を交互に眺めた。
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