最終楽章 #2

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それなのに、匠は。 消えた身勝手な私を探していて、 手を差し伸べてくれた。 心もカラダも。 強い力で抱きとって、 少しずつほぐしてくれた。 『一緒に成長しなくて……良かった』 ふと、私が溢した言葉に、 匠が『なんで?』と、聞くから。 『……“兄”ばかり見て、他の異性が……視界にさえ入らなかったと思うから』 そう答えたら。 端正な匠のカオが、 少しユルんで、色づいた。 ――離れて成長したって どうしようもなく惹きつけられて 結局はこの有り様なんだ 『……俺も――、同じだ……』 小さく、反応してくれた匠が、 私に笑みを溢させた。
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