最終楽章 #3

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腰が―― 抜けるようにしびれて、 溶け落ちてしまいそうになる。 歯止めがきかないクサビで。 カラダの中から、 律動で突き支えられて。 肢体から、 余計、力が奪われる。 グズグズに蕩けて、 掻き回されてまた、疼いて。 自分の原形が、 ――失くなっていく 溶かされた熱で、 古い自分を失って。 その熱で、 新しい自分がつくられていくような、 不思議な感覚に、陥った。 前後不覚になって。 ナニもかも、熱に浮かされるまま、 口走りそうになる。 怖いくらいに、 幸福で。 煽り続ける匠の腰と、肩を、 強く、強く――掴んだ。
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